2015年7月27日月曜日

価格競争に巻きこまれないため 独自の価値創造をしていく必要性があります

\ ショップオーナー様SPECIALインタビュー第13弾 /

みなさま、こんにちは。ショップインタビュー第13弾は、品川駅・高輪口近くに長期熟成日本酒BARを構える株式会社諸国美味「酒茶論(しゅさろん)」様です。普通の酒販店にはないユニークな商材で、価格競争に巻き込まれない運営をしています。取締役 上野様、ECマネージャー 長船様にお話を伺いました。

 (左)株式会社諸国美味 取締役 上野様 (右)ECマネージャー 長船様

時間が醸成する厚みを、商品価値として捉える

-なぜこの商材を販売しようと思ったのですか?

(上野様)もともと世界のお酒がどこに価値をおいているかというと、“時間軸”なんですね。
ワインやウイスキーなどの洋酒は、時間が醸成する厚みを商品価値として捉えています。


日本のお酒は創世記から江戸末期まで古酒が普通に流通していました。
それらは一般のお酒の3倍くらいの値段で取引していたんです。
残念なことに日本は明治以降、財源が乏しいことを理由に、酒税に大きく税収を頼る政策をとりました。明治時代の税収の約4割は酒税でした。
お酒が蔵の中で眠ると税が取り漏れてしまう。それでは国として好ましくありません。
酒蔵がお酒を取り置きできない環境を作り出して行き、その状態が昭和30年ごろまで続いたんです。
 

一方で、酒蔵の人たちは古い文献を元にお酒の熟成を自分たちで試みていました。
日本のお酒は価値創造という点において限界があるものばかりに価値をつけていたという背景があります。


例えばお米のお酒は“磨く”ことによってクリアなお酒を作る。
続けていくとゼロにはならないが必ず限界点にたどり着きます。
そうすると必ず価格競争が起きるわけです。“香り”、“フレッシュ”という点もしかりで際限がありません。

しかし“時間軸”であれば、価格競争とは違った次元で価値が提供できます。
キャッシュフローを要する大手企業の価格競争に巻きこまれないために、中小企業は独自の価値創造をしていく必要性があります。
色々な酒蔵が熟成酒をつくっているけれど、世の中にアナウンスされていないのであれば、それを束ねてみんなと一緒に案内して行こう、私たちはそれをちゃんとした価値として世の中にお伝えしていきたい、というのがスタートです。

-古酒と出会ったキッカケというのは?

もともとホテルニューオータニで洋酒に関する仕事をしていました。
洋酒を提供する上で、自国のお酒のことも知らなくてはいけないと勉強していたところ、なぜ日本にはビンテージのお酒がないのだろうと疑問に思いました。
そこで、日本酒を自分で取り置きして趣味で自家熟成をして嗜んでいました。
それが自分にとってはとても美味しかったんですね。
のちに、フランス料理のレストラン「トゥール・ダルジャン」でビバレッジコントローラー(※1)をやることになり、フランス人と話をする機会がありました。
シェフやメートル・ドテル(※2)に言わせると日本酒は薄っぺらいという。


悔しいので、試しに自分が熟成したお酒を飲ませてみたら、「これはどこのなんていうお酒だ?これなら俺は料理を作れる。」と関心を示したのです。
お酒の持つ厚み、風格が時間によって醸成される。

ジャンルを問わず意味響くものだ、と自分の中で確信しました。
それから興味をもちながら、メーカーさんが30年前に長期熟成酒の研究会を作ったのでそこにオブザーバーで入りました。
熟成酒は自分たちで作り研究はしているけれど、世の中に露出はされていない。
自分がみなさんにお声がけをして熟成酒が手元に集まった次第です。

(※1)ビバレッジコントローラー beverage controllerとは:料飲原価管理を専門的に行うホテル・スタッフ。主な業務として、食材・飲料の購入から調理行程などについてチェックや提言を行う。


(※2)メートル・ドテルmaître d'hôtelとは:レストランの給仕長




インタビュー中の上野様


-古いお酒と通常の日本酒とは何が具体的にどう違うのでしょうか?


簡単にいうと、物理的、化学的に2つの変化が起きます。物理的には、お水とアルコールという違う性質のものが、時間とともに構造体が変わる。

お水はお水、アルコールはアルコールでむき出し状態にあると、舌にのった時、アルコールはピリピリと刺激があります。
時間と共に、水の分子がアルコールの分子をコーティングするような構造体に変わっていく。そうすると、アルコール度数は変わらないけれど、舌にのった時はむき出し状態ではないので味が滑らかに感じます。ここまでが物理的な構成です。
化学的には、お酒の成分である、アミノ酸、たんぱく質、脂質が化学変化を起こしてできた直後とは明らかに違う功名をもたらします。

-どんな酒蔵さんが参加されていますか?


43社の酒蔵が参加しています。
長期間熟成するにしても、蔵によって特徴が違います。
ある蔵は、冷蔵庫の中でなるべく風味を損ねずに角をとった形でフルーティなままに美味しく飲んでいただきたい。

ある蔵は常温でいい、大きく変化をもたらしたいのでなるべく大きなタンクでとっておきたい。
別の蔵はオリジナルで甕(かめ)をあつらえているので甕のなかでとっておきたい。
ほかの蔵はオーク樽といってウイスキーやワインをいれる樽のなかにとっておきたい。
各々が目的とする味わいというのがあり、温度帯や保存方法によって味の構成が変わってきますので各蔵の個性が出てきます。

思い出を受け止める、奥ゆきのあるお酒であることがきちんと伝わればいい

-お客様はこのような古酒をどのような目的で購入されるのですか?


(長船様)赤ちゃんが生まれた時やお誕生日など節目のお祝いにご利用頂いております。

一番多いのは結婚式ですね。ご自身の生まれ年と結婚年のお酒をセットアップしてグラスをセットにした商品があります。
親御さんに対して私はこれだけ成長しましたということを感謝する意味合いとまだまだこれから新婚生活を営んでいく上で見守っていてほしい、ということで結婚年のお酒はとっておいている方もいらっしゃいます。

(上野様)古酒は嗜好品ですからいい意味でフックをかけたいと思います。
商品化した古酒は、1970年からシリーズ化して年度別に思い出の年のお酒で何かを省みる時に使っていただきたいです。
メーカー名が入ると、どうしてもそのメーカーが目的とするお酒の味わいに意識が及んでしまうけれど、目的はあくまでも思い出を省みること。

お客様の関心はもともと思い出の年のことにあったのに、味の方に関心が入れ替わってしまうと購買意欲を削いでしまいます。

そこでメーカーさんの名前はあえて排除しています。思い出を受け止めるだけの奥ゆきのあるお酒であることがきちんと伝わればいいと思います。

-子供が生まれた年のものをとっておいて、20年後、その子供が成長した時に一緒に飲もうか、ということもできますか?

そうです。バースデーワインというものが世の中にはありますが、
長期熟成の日本酒がもっと普及していけば同じ楽しみを味わうことができます。
何本かお求めいただいて、親御さんご自身は思い出の節目となる時に飲みつつ、最後に成長したお子さんと飲まれるとよいのではないでしょうか。
 
 
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-例えば、今年のお酒を買った時に自分で保存ができるものでしょうか?
はい、保存できます。通常は取り置き用のものは傷むリスクの少ないものをセレクトしていますので、紫外線だけ気にしていただければ特に問題はありません。常温でとっておいていただければけっこうです。

-パッケージがとても素敵ですね。
「グラスボトルデザインアワード2008」で最優秀賞を受賞されています。何かデザインにこめられたこだわりというのはありますか?


日本における既存の瓶で古酒の魅力を表現できるものがありませんでした。
実は輸入瓶を扱っている会社で瓶を見せていただきましたが、酒屋さんで扱うにしても日本の瓶と並べた時にバランスを欠いてしまうと感じました。そこで、日本の瓶商に古酒に見合うイメージの瓶をいくつかお渡しして図面をひいてつくりました。

店内の壁面には美しいボトルがずらりと並ぶ


前編はここまでです!続きは後日公開する後編にてお届けいたします。お楽しみに!
■今回インタビューにお答えいただいたショップ様
「酒茶論(しゅさろん)」
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